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2021/03/11 第290期 訂閱/退訂看歷史報份TAEPEI
南機場で生まれた「食のサスティナ
 
 
南機場で生まれた「食のサスティナ
文/Taipei
文/Rik Glauert

写真/Yenyi Lin、Taiwan Scene、書屋花甲

編集/下山敬之

昨今、都市部では食料廃棄が大きな問題となっています。この問題に取り組んでいる台北忠勤里の里長‧方荷生(ファンハーション)氏は、「食料の持続」というアイディアを打ち出しました。これによって地域にコミュニティ‧フリッジ(公共冷蔵庫)が設置され、大企業等が廃棄する食料を必要とする人々へと供給できる仕組みが出来上がりました。この台北初の地域特化型フードバンクの完成は、地域の人たちがこうした問題に関心を持つきっかけにもなっています。方氏はこの「食料持続改革」を台北全土に広めるために尽力しています。

「食料の持続」の始まり

方氏は台北最古の地区である万華付近の南機場で育ちました。西暦1636年~1912年までの清王朝時代は南機場が台北の中心地であり、その後の日本統治地時代に非常に栄えました。しかし、方氏によると他の地域への投資やインフラの開発が急速に高まるにつれ、この地域は後れを取っていったそうです。「一人親や職のない家庭が増え、新住民や高齢者、中‧低所得者など支援が必要な人たちが増えました」と指摘しています。

過去にはそうした境遇の人々に、チャリティや社会福祉団体から食料の提供がありました。しかし、受け取る側の状況やニーズに対する配慮が足りず、提供された食糧が無駄になることもありました。

「例えば、必要のない人にお米を提供しても放置されてしまい1、2か月後には虫が湧いてしまいます。ニーズに合った食料が提供されなければ結局無駄になってしまうのです」と方氏は話します。

方氏は1998年に忠勤里長に選出された後、台北初のフードバンクを開設。未使用または不要となった食料を、必要とする地域の人々へと供給するシステムを作りました。

その際、南機場にある閉鎖された郵便局の再利用許可を取得し、そこに寄付された食料を保管および陳列して、地域の人々がそれぞれ必要な食料を自由に選べる仕組みを作りました。必要なものが無料で手に入るスーパーマーケットのような形式です。

後にこの場所は「南機場幸福食物銀行(ナンジーチャンシンフーシューウーインハン)」と名付けられ、台北初の地域特化型フードバンクとなりました。

また、食料を寄付や他の福祉団体に頼るだけではなく、企業関係者たちにも「人々を助けるだけでなく、大企業の食料廃棄物削減につながる」と働きかけました。これが後々、Carrefour(カルフール)との協働へ繋がります。

「賞味期限の切れた商品が消費者に渡らないよう量販店では期限前に陳列棚から商品を外さなくてはなりませんが、そうした食料品の廃棄にも費用がかかります。つまり、企業は商品とお金の両方を無駄にしていることに気づいたのです」と方氏は語ります。

それから賞味期限間近の食料が受領できるよう、大型スーパーのカルフールと協議し、ウィンウィンの関係を築くことに成功しました。現在では台湾全土のカルフール117店舗から毎日未使用の商品が台湾中の福祉団体へ送られています。

方氏は、カルフール以外にも著名な呉宝春麦方店(ウーバオチュンマイファンディエン)などのブランド企業にも働きかけ、困っている個人と企業双方の問題解決を図りました。

廃棄される食料を必要な人に供給するこれらの仕組みを「食料の持続」と読んでいます。

「食のサスティナビリティ」のリアル

フードバンクは現在170か所ありますが、食料供給の仕組みは寄付者、パートナー、ボランティア、会員で構成されています。

まず食料の確保ですが、企業から回収する以外に、2014年からは消費者がキャンペーンやサービスで獲得した余分な日用品を寄付できるようにしました。カルフールでは大くの店舗でレジ横に大型の収集ボックスを設置し、不要なキャンペーン商品の回収を行っています。

「製造メーカーと一般市民にとってプラスとなるこの取り組みは大きな関心を呼んでいて、多くの人に食料や日用品を提供して頂いています」と方氏は話します。

次に区役所と協力して、低所得者層や若い一人親家庭、家族が事故に遭った家庭、障害を持つ人などを探し、フードバンクを利用できるようにします。

新規会員は500ポイントが付与されたポイントカードを受取り、NT$1500~2000(日本円で約5500円~7350円)分の商品をフードバンクで「購入」することができます。フードバンクでは通常の小売店と同様に、POSシステムを使って在庫管理をしています。食料分配の割合を共有することで、商品ごとの「価格」となるポイントを調整しています。

会員はフードバンク関連やその他のボランティア活動をすることで、カードにポイントが貯まるようになっています。そのため、フードバンクを通じて地域の共同体意識を持つきっかけにもなりますし、社会活動に参加できるチャンスにもなっています。「学生たちも友人と一緒にボランティア活動へ参加してくれるので、フードバンクにはいつも十分な人数のスタッフがいます」と方氏は話します。

コーヒー、コミュニティ、自信

食のサスティナビリティは現在、コミュニティとの繋がりも生み出しています。その一環となっているのが、方氏が現在進めているサスティナブルカフェの書屋花甲の拡大です。これは台北初のサスティナブル‧フードを使用したお店であり、さらに近隣地域と関わり、さらなる協働意識を高めるという狙いがあります。

方氏によるとフードバンクの活動を通じて、多くの家庭が高齢者の食事介助や保育、放課後の学童保育を見つけるのに非常に苦労していることに気づいたそうです。

そこで、地域の高齢者たちをカフェという共同スペースに招いて一緒に昼食をとり、歩行が難しい人にはお弁当を届けるといった活動を開始しました。これらの食事はサスティナブル‧フードが使用されていますし、利用する方も他の人と交流する機会を得ることで地域とのつながりをより強く感じることができます。

また、台北では2012年にバリスタブームが起こりましたが、方氏はこうしたコーヒー文化に目を向けました。若い人たちのためにコーヒー教室を開き、受講者が自信を持ったコーヒーが淹れられるよう訓練を始めたのです。

カフェでは勉強をしたり、健康的な食事が楽しめる他、教室で学んだ事を活かして店員となり、バリスタの技術を磨くこともできます。併設されたレストランでは2‐3日ごとにメニューが変わりますが、これはその日使用できるサスティナブルな食料に合わせて料理を作っているためです。

「食料=台北」を目指して

フードバンクは地域ベースでの試みとしては成功と言えますが、食料廃棄物の最小化を目指すには市全体での取り組みと、より革新的な解決策が必要です。

そのカギとなるのは、食料廃棄が発生する場所を見つけることです。方氏はカルフールとの協力によって日々どれだけのパンが無駄になっているのかを知りました。安全面では問題ないにも関わらず、新鮮ではないという理由から翌日には陳列されなくなります。そこで、市内有数のパンや菓子メーカーと協力し、捨てられるパン類の再利用を行いました。

ここで重要なのが、大量の冷蔵トラックです。まずトラックが市内のパン屋へ向かい、その日の「余剰食品」を引き取ります。そして職員とボランティアたちが包装を外して、商品の品質を確認。その後、食料を必要とする地域へパン菓子を届けます。

届けられた商品は「食享冰箱」というコミュニティ‧フリッジに入れられます。これは大型の自動販売機のようなもので、最新の顔認識ソフトを使って本人確認を行うと中のパン菓子が二つまで取り出せます。全てシステム化されているのでボランティアがその場に常駐する必要はありません。

この仕組みによって約30店の有名パン菓子ブランドが1週間に廃棄する200kg相当の商品が必要とする人々へ供給されるようになりました。

また、運営規模の拡大につれて食料を必要とする人びとからの連絡はソーシャルメディアを使うようになり、一般の人たちからは食料だけでなく現金の寄付も受け付けるようになっています。

方氏は、食のサスティナビリティに関する関心が集まっている今こそ、台北の市民や企業リーダーたちの意識をより高められるように自身の経験や知識を伝えていきたいと考えています。すでに十分なノウハウがあるので、新たに食料が無駄になっているエリアを見つけたら、すぐさまそこへ技術を提供して廃棄を抑えられるようになっています。

現在、多くの人たちが『食料の持続性』に関するビジネスモデルを学ぶために方氏を訪れていますが、そういった人たちのためにMRT麟光(リングァン)駅の傍に運営の拠点となる教育センターを立ち上げるプロジェクト319という計画があります。

今後は方氏のノウハウを多くの人が学べるようになります。そして、将来的には台湾にあるすべての地域で「食料の持続」が確立され、食料廃棄を防ぐと同時に、飢えることのない素晴らしい国にすることを目指しています。

書屋花甲

中正区中華路二段307巷42号

12:00~22:30 (水曜 - 金曜)

10:30~22:30 (土曜、日曜) |月曜、火曜定休

 
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