「台湾のためオリンピックでメダルを獲得して表彰台に上りたい」 ―― 台湾史上最年少で「バドミントン女王」の座に就いた戴資穎選手は堂々と自分の夢を語ります。2017 年に台北市で開催される夏季ユニバーシアードでも、持てる実力を発揮して台湾に金メダルをもたらしたいと抱負を述べました。
強い相手を求め飛び級 世界最高の舞台へ
戴資穎選手はまだまだ若いものの、既に「大物」の風格を漂わせています。バドミントンの世界では常に年齢の枠を超えた成績を残しており、小学6 年で早くも全国トーナメント大会の「乙組」(2 部)で優勝し、史上最年少で「甲組」(1 部)入りを果たしました。さらに2009 年以降は、US オープン・グランプリゴールド大会、ワールドスーパーシリーズファイナルズ、ユニバーシアードなど国際大会にも参戦してメダルを獲得。2015 年8 月に世界ランク(女子シングルス)を3 位まで上げました。
なぜこの若さで傑出した成績を挙げられるのか?その答えはなんと、幼い頃から両親が「かなわない相手」に会うために飛び級で大会に参加させたことにあるといいます。両親はもともと、楽しく健康になれるという理由で2 人の娘をバドミントンに連れ出したそうですが、その後、休日になるとあちこちの体育館へ出向き、年上のお兄さんやお姉さん、社会人たちと腕を比べるようになったそうです。父親は、年長者と試合をして「負ける」ことでメンタル面の弱さを克服できると考えたのでした。「小さいころから両親に連れられて台湾各地のバドミントン大会に飛び級で参加していたけれど、負けることで多くの経験や技術を身に付けることができたし、どんな試合でも自分の力を出し切って立ち向かうというその過程が何より大切だと学んだ」と語る戴選手。相手のミスで「勝って当たり前」の勝利を得るよりも、実力の伯仲した相手と死力を尽くして戦うことの方が達成感を感じられるそうです。
家族の支えで バトミントンに専念
戴資穎選手の成功は、自身の努力に加え、家族の支えに恵まれたことも大きいようです。試合の時はいつも、前日に家族総動員で準備を整え、当日には祖母も含めた全員で会場入りし、声援を送ります。さらに2013 年のスーパーシリーズ・マレーシア・オープンでは、両親をコーチとして帯同し、現地に乗り込みました。現在、高雄市バドミントン委員会の総幹事を務める父の戴楠凱さんは昨(2015)年、50 歳の誕生日を迎えた日に、その年最も活躍したスポーツ選手に送られる「精英奨」(Taiwan Sports EliteAwards、最優秀女子選手部門)を受賞した娘の代理として表彰式に出席しました。これこそ娘が父に送る最高の誕生日プレゼントと言えるでしょう。その戴楠凱さんは「スポーツは今、国民が心を一つにし、台湾を世界にアピールできる最高の手段の一つです。これからも資穎が国のために栄光を勝ち取ってほしいです」と語っています。
戴資穎選手も一度、同級生が放課後に遊んでいる姿を見て「もうシャトルを打ちたくない」と考えたことがありました。しかし練習を休んでいる間、「生活の柱を失った」ような感覚に襲われ、それからというもの、さらに強い気持ちでバドミントンに打ち込むようになったと言います。彼女は現在、試合中に負ったけがのため、治療を優先して基礎体力作りを中心としたトレーニング行っています。今後は世界ランク、成績の維持、向上に集中しコンディションを調整する予定で、その後迎える五輪と2017 年のユニバーシアードに平常心で臨み、最高のパフォーマンスを見せたいと考えています。台北市での開催となる2017 年の夏季ユニバーシアードの成功を楽観しているという戴資穎選手は、「寝るところと食べるものに不安がないので試合に集中できる。ぜひ台湾に金メダルをもたらしたい」と意気込みを語っています。