台北市大同区の延平北路にある延三夜市は小さいながら、とてもお気に入りの夜市(ナイトマーケット)です。大龍峒地区は延三夜市があるからこそ輝き、特別な魅力を放っています。延平北路三段には朝市もあり、揚げたての蛋餅(薄焼き玉子をクレープのような薄い皮で包んだもの)で有名な津津豆漿のほか、延平北路三段25之3号には朝食の屋台も出ています。
延三夜市一帯の一押しグルメ
私が提唱する「大夜市」のコンセプトは、今はなき建成円環夜市を復活させ、延三夜市、大龍夜市、周辺の美食と結びつけることです。延三夜市にはたくさんのグルメがありますが、残念ながらまだ全てを制覇できていません。特に好きなのが「葉家五香鶏捲」のチキンロール、「大橋頭阿宝師台東鱔魚麺」のタウナギ麺、「阿欉大橋頭肉粽」の肉入りチマキ、「台北橋頭魯肉飯」の魯肉飯(豚肉のそぼろかけご飯)、「祥記純糖麻糬」の餅、「阿春粥店」の肉粥、「汕頭沙茶牛肉」の牛肉の沙茶醤(台湾風サテソース)炒め、「老程麺店」のゴマだれをからめたジャージャー麺、「延三夜市生炒魷魚羹」のスルメイカのとろみスープ、「嘉義雄鶏肉飯」の鶏ササミ丼、「杉味豆花」の豆花(豆腐のデザート)、「施家鮮肉湯円」の肉団子スープ、「大橋頭潤餅」の潤餅(クレープの皮のような生地で肉、野菜などを巻いたもの)で、ほかにも「新竹旗魚米粉」のカジキ汁ビーフンは大好物です。
北部の汁ビーフンの大半は太いビーフンが使われます。豚肉、内臓を煮込んだスープには太いビーフンが使われるとも言えます。延平北路三段の新竹旗魚米粉や布市場「永楽布業商場(永楽市場)」近くの「民楽旗魚米粉湯」のような魚介スープのビーフンは新竹ビーフンのように細いです。特別な理由があるわけではなく、昔からの慣習なのでしょう。南部の汁ビーフンは魚介スープがメインで、大半は細いビーフンを使用しています。北部の汁ビーフン店の多くは「大稲埕米粉湯」のように黒白切(豚モツなどの煮込みのぶつ切り)も販売しているため、豚肉、内臓、豚骨を煮込んだスープとなっています。
新竹旗魚米粉のカジキ汁ビーフンは民楽旗魚米粉湯に比べ、カジキのサイコロ肉、スープ、ビーフンのいずれも丁寧に作られており、スープの色も味も濃い一般の汁ビーフンと違って見た目が美しく、さっぱりとした味わいです。カジキのサイコロ肉とは別に魚のつみれも入っていて、その組み合わせについつい口元が緩んでしまいます。美しい揚げ物も多く、私は特に揚げ豆腐、カキのから揚げ、紅糟肉(紅麹をまぶした肉のから揚げ)、チキンロールがお気に入りです。また、大龍街夜市にある「郭記大塊肉羹」の肉のとろみスープも好きです。
新竹旗魚米粉
大同区延平北路三段83号
(02)2585-4162
阿欉大橋頭肉粽
大同区延平北路三段19-1 号
(02)2597-5779
杉味豆花
大同区延平北路三段56 号
(02)2598-3638
本編は台北市観光伝播局が出版した『味道台北旧城区(台北下町の味)』からの抜粋です。美食を訪ね、美食を追求して10年以上になる作家‧焦桐さんが台北市の艋舺、大稲埕、大龍峒などのお店を半年近くかけてめぐり、167店を厳選しました。旅人を台北の昔懐かしい味の探索へと誘います。
『味道台北旧城区(台北下町の味)』焦桐著/定価250元/台湾全土の大手書店でお買い求めください